文芸共和国の会

考えるためのトポス

第二回 「文芸共和国の会」開催のお知らせ

第二回「文芸共和国の会」を以下の日程で開催します。

※梗概、会場の詳細、レジュメ等順次公開していきます。

 本会メーリングリストでは、運営方針や具体的な開催の構想その他について闊達な議論が行われています。現在のところ、海外、全国津々浦々より、学者/市民、先生/学生の区別なくさまざまな方々に参加いただいております。メーリングリスト参加をご希望の方は「vortexsitoneあっとまーくgmail.com(逆巻)」までお願いします。

 

※以下にポスター兼プログラムを公開します。公費利用の申請や告知に活用してください。

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日時: 2016年 5月21日(土) 13:00~17:00

 

会場: 徳山工業高等専門学校 教室・管理棟二階・大会議室

[交通アクセス] http://www.tokuyama.ac.jp/campus/areamap.html

[キャンパスマップ] http://www.tokuyama.ac.jp/facilities/index.html

 

※JR徳山駅からはバスを利用される場合は「高専」行き(終点)か「久米温泉口」行き(高専・大学下で下車)をご利用ください(「久米温泉口」方面だと軽い山登りをすることになりますので、高専」行きのほうがオススメです)。駐車場の利用もできますので、車で来られても大丈夫です。

 

会場使用料は4000円です。当日、参加者で折半します。

 

 

13:00~14:30 

1.高橋愛 (徳山工業高等専門学校

  「ハーマン・メルヴィルの小説における「男らしさ」からの逸脱」


 本発表は、主に19世紀中葉に小説家として活動していたハーマン・メルヴィル(Herman Melville 1819-1891)が、同時代のミドルクラスの白人の間に浸透していた「男らしさ」の理念に対する抵抗やそこからの逸脱をどのように描き、作家としてキャリアを積む中でその姿勢をどのように変化させているのかを考察するものである。前期の作品として『タイピー』(Typee, 1846)、『ホワイト・ジャケット』(White-Jacket, 1850)、『白鯨』(Moby-Dick, 1851)を取り上げ、メルヴィルの身体に対する関心に着目し、彼が描く「特異」な身体に規範からの逸脱がどのように現れているのかを示す。後期の『ピエール』(Pierre, 1852)、「ベニト・セレノ」(“Benito Cereno,” 1855)、『水夫ビリー・バッド』(Billy Budd, Sailor, 1924)については、男に対する男の欲望をめぐる問題に焦点を当て議論していく。

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14:50~17:00 

2.高橋さきの (翻訳家・科学技術論)

  「ことばに遊び、ことばを学ぶ

        ――『研究社大和英辞典』活用ワークショップ」

 翻訳は、原文言語で文章を分析的に読み、読み取ったロジックや意味内容を、原文の言語構造もさまざまなかたちで利用しつつ訳文として再現する作業を基本としています。そして、その際には、双方の言語を超速で往き来する、つまり脳内の各所に散らばっている原文言語と訳文言語に関わる諸領域を、閃光が光速で駆けめぐるような作業が実施されます。しかも、その間、脳内の諸領域では、複数の作業が同時進行しているわけです。
 ことばの「あいだ」を往還しながら訳文を構築していく翻訳の営みは、多種多様な辞書、先人の文例を集積したコーパス、原文の前後関係・パラグラフ、原文と関係のある文献...といった、さまざまな目に見えるものの「あいだ」で目には見えない「あやとり」を実践するプロセスだと言えるでしょうか。
 今回は、まず、長年従事してきた技術翻訳の世界をご紹介したうえで、「翻訳観のようなもの」について簡単にお話させていただきたいと思います。
 次に『研究社和英大辞典』を使ったワークショップに移ります(※現物は不要です)。目の前にある道具に死角はないかどうか、振り返るきっかけになるでしょう。道具がわかれば、道具をより上手に使うことができる。目に映っているものがどれだけちゃんと見えているでしょうか。道具の解像度が上がれば、訳文の確度も上がる。その上、ことばともっと親しくなれる。そんな体験ができる場を一緒につくりましょう。
 原著者がいて、読者がいる。その「あいだ」に翻訳者はいます。「あいだ」にある楽しさと難しさを体験してみませんか。

 

※ワークショップ関連参考資料

  1. 「辞書の向こう側:生きた用例と辞書を往き来する」 

    CA1821 - 辞書の向こう側:生きた用例と辞書を往き来する / 高橋さきの | カレントアウェアネス・ポータル

  2. 岩坂彰による紹介記事「第42回 『聞き取り、読み取り、そして発声』」

  3. 時國滋夫 編著 『プロが教える技術翻訳のスキル』 講談社

  4. 高橋さきの、深井裕美子、井口耕二、高橋聡 著 『できる翻訳者になるために プロフェッショナル4人が本気で教える翻訳のレッスン』 (講談社 2016年5月27日発売予定)  

    『翻訳のレッスン』: Buckeye the Translator

 

 

※18:00~ JR徳山駅周辺で懇親会を開きます。

 どなたもふるってご参加ください。 

会場等の詳細は当日お知らせいたします。会費は5千円程度の予定です。

出席希望は「vortexsitoneあっとまーくgmail.com」逆巻までemailで通知願います。

〆切は5月7日(土)

準備の都合上、事前の出席通知をお願いいたします。

領収書も用意しております。

 

第一回は九州工業大学という人文系学部のない大学で開催しました。おそらく九工大の創立以来、およそ100年の歴史上、初めての人文系イベントだったはずです。

第二回は山口県で開催します。会場は徳山工業高専です。人文系のイベントが高専で開催されるというのも全国的に見て珍しいことでしょう。

一般にはあまり知られていないことなのかもしれませんが、人文系学部のない理系の単科大学高専のような高等教育機関にも人文系の研究者はたくさん存在します。それどころか人文系研究者全体の比率から言えば、人文系学部・大学院の専門教育には直接携わっていない研究者がその大半を占めています。小中高の教員、非常勤講師、在野の研究者も含め、人文学の裾野は沃野ともいうべき豊穣さを湛えているのです。

本会はそれぞれ専門を異にする研究者どうしが専門の垣根を維持したまま対話すると同時に、アカデミアの閉域を超えたところで市民どうし人文知を共有していくことを目指す場です。学者だけの場所である学会・研究会でも、学者が市民に対し講義する市民講座でもない、学者と市民が共に同じフロアにおいて思考するアゴラ(広場)です。会員制ではありませんので出入り自由です。会費は無料です(会場費を除く)。ふるってご参加ください(※本会の基本理念に関しては下のリンクを参照してください)。

republicofletters.hatenadiary.jp

 

スタイルや進行に関しては未だ実験中です。今回はファシリテーターを設けて、対話のさらなる活性化を目指したいと思います。

 

9月上旬に広島市内で開催を予定している第三回の発表者をもうひとり募集しています。テーマは「労働・資本主義関連」を予定していますが、全く異なるテーマでも構いません。発表希望者は、「vortexsitoneあっとまーくgmail.com(逆巻)」までお知らせください。

 

                             文責: 逆巻しとね